ぬこやんのふわふわ要塞

ありとあらゆるものの雑感

「バーニングオーシャン」に学ぶ、現場での責任の取り方

 

バーニング・オーシャン(字幕版)

バーニング・オーシャン(字幕版)

  • 発売日: 2017/08/16
  • メディア: Prime Video
 

2010年のメキシコ湾原油流出事故

ついつい、私たち日本人は海の向こうの出来事を軽視しがちである。

10年前の原油流出事故だけれど、被害の大きさに比例した報道は日本ではされていなかった気がするし、その間に東日本大震災もあり、そういえばそういう事もあったな、としか思い出せないでいる。

2010年メキシコ湾原油流出事故 - Wikipedia

 

石油はまるでモンスター

(※この先ネタバレ)

 

トランスウォーター社の技術者マイク・ウィリアムズは妻と娘との三人家族。

もう1人、バイク野郎の恋人がいるラテン系の美女アンドレア。

仕事でメキシコ湾にある石油掘削施設ディープウォーターホライズンに3週間滞在するため、愛する家族や恋人とはしばしお別れ。

ディープウォーターに到着すると、やってあるはずの安全テストが行われていない。しかも、現場主任のマイクの上司ジミーが苦言を呈する中、工期の遅れを取り戻すためにBP社の管理職ヴィドリンが、安全テストを省略して掘削作業を強行。

そのため、施設に掘削泥水が噴き出し、大量の天然ガスが漏れ施設が爆発。

原油海上に漏れたため施設の中も、海上も「火の海」の中、マイクはこれ以上の大惨事を防ぐため、ディープウォーターの現場の仲間と共に決死の覚悟で行動するものの、そこで見たものは、同僚の死、生き残ろうと必死に救命ボートの奪い合いをするBP社の社員達。

最後のボートを見送ってしまったマイクとアンドレアは脱出案を練る…

 

この映画自体、大作か?と聞かれればそうでもないし、もっとハラハラドキドキするパニック映画なんて星の数ほどあると思う。

 

だけど、今の私には少なくとも「学び」はあった。なので、この映画で何を「学んだ」か、実生活や仕事の参考になるように、記しておきたいと思う

 

「実話」私の職場でおきた○○○漏らし事件

バーニングオーシャンのメキシコ湾原油流出事故に比べると、あまりにもスケールが小さすぎるし、お前笑わせにきてるだろうと思われるかもしれないが、そうではない。私は真剣である。

私は、医薬品メーカーの工場で製品管理の仕事をしている。

当然、お客様の身体に入るお薬を製造しているのだから、製造現場の衛生管理は、清掃をこまめにし、小さなミスや変化でも報告をするように、社員教育を徹底している。

 

しかし、私が働いているのとは別の現場で、その事件は起こってしまった。

清潔なクリーンルームでお薬は製造されている。

そのため、そこで製造を担当する社員は無塵着とかクリーンスーツと呼ばれる物を着ているが、これを着脱するには、慣れた者でも3分、慣れない新入社員では5分以上はかかる。

しかも、エアーシャワーや手袋の着脱などこれが結構面倒で、かなり時間がかかってしまう。

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何が言いたいかというと、作業中にクリーンルーム内でもよおすと、現場からクリーンスーツの着脱用の更衣室に辿り着くだけで5〜8分、トイレに向かうだけで1、2分はかかり、その間ひたすら我慢しなければならないのだ。

 

事件の主人公くんは腹部に鬼気迫るモノを感じ、トイレへ向かおうとクリーンスーツをあわてて脱ごうとしたそうだが、間に合わなかった…

その現場はインフルエンザが流行していて人手不足。ノルマを達成する為、彼はなかなか上司にトイレに行きたいと報告できず、ギリギリになるまで我慢していたとか…

しかも、漏らしたなんて上司に報告できるはずもなく、トイレから戻った後、彼は自分のノルマを達成する為、漏らしたクリーンスーツをそのまま着用して、何食わぬ顔で医薬品を作る作業を続行したのである。

 

現場のリーダーは、溶剤と勘違いして無視しようとした

ほんとかよ?!ってツッコミたくなる話だけど、マジなんです…。白いクリーンスーツに黄色いシミが付いていれば気付きそうなモノだけど、現場のリーダーは溶剤かなんかだと思ったのだとか…(言い訳おつ)

もちろん、医薬品を作っているので、人糞が混入した疑いのある製品を市場に流すわけにはいかない。結果彼が触った、かなりの数の製品が不良品となってしまった…。

ここで、やっぱりバーニングオーシャンで学んだ教訓が生きてくる。

ダメなものはダメ。ちゃんと言える勇気を持とう。

「バーニングオーシャン」本編では、あたかもBP社の偉いさんヴィドリンが安全テストを軽視したために事故がおきたかのように描かれているが、結局掘削作業を強行してしまったジミーも相当の責任を負わなければいけない立場なんじゃないかと思う。(映画公開時まではトランスウォーター社で働いていたそうだけど)

ダメだって、気づいてたのに、止めなかった。

現場の不安な顔だってわかってたのに、止めなかった。

結局のところ、管理職って部下の顔色を見てあげて、快適に安心して仕事ができるようにしてあげないとダメだと思うのよね。

ジミーは現場の部下みんなに慕われて、サプライズパーティーだって開いてもらっていたけど、ここ1番大事なところで大事なみんなを危険に晒してしまった。雇い主のBP社のいいなりになってしまった。

私の会社の○○○漏らし事件だって、結局はスケールの大小で同じこと。

その話を聞いた時にみんなゲラゲラ「マジかよー」とか言って笑っていたが、本当は笑えるような話じゃないんだよね。

彼の現場リーダーは「最悪」の時を想定した教育を、彼にしていなかった。

それにほんとに人糞が混入してたら、ウチの会社の幹部も会見で頭を下げなければいけなくなる。

そんなところは見たくないよ。

ノルマなんかより、大切なのは部下の健康を守ることで、我慢してたら表情でなんとなくわかるはず。

具合悪かったら、学校じゃないんだし気軽にトイレ行きなよー!!っていう雰囲気を作らなきゃダメだと思う。とくにウチみたいな衛生管理をしっかりした所はね。

これから先、仕事をしていく上での責任の取り方を充分学ばさせて頂きました。いい映画体験でした。感謝です。